兵庫県朝来市視察(厚生産業委員会)2026.10.21

観光

厚生産業委員会視察で兵庫県朝来市を視察しました。視察項目は「観光振興」です。

場所: 朝来市役所
とき:2026年10月21日(水)9:30~11:00
 三菱重工(旧三菱)が採掘・作業を行っていた生野銀山などの歴史や観光資源について言及。朝来市の人口は現在約26,000〜27,000人(合併時は約36,000人)であり、全国と同様に人口減少に直面している。一級河川の円山川が流れている。伝統産業(タンス等の竹細工)や工場・企業の状況(グンゼの撤退等)を踏まえ、今後はインバウンドを含めた観光振興に注力したい旨を表明。

2. 視察資料・動画の紹介・説明
観光振興の取り組み説明
  市概要:面積 403.06 k㎡(森林約83%)、平成17年に4町(生野、和田山、山東、朝来)が合併して誕生。人口は26,884人(9月末現在)、高齢化率37.71%。
主な観光スポット:
竹田城跡:2014年に過去最高の58万人を記録したが、近年はピーク時の約1/5(11万〜17万人規模)に落ち着いている。インバウンド割合は過去最高の9%に達し、その半数以上が台湾からの訪客。
生野銀山:年間約7万人前後で推移。
神子畑選鉱場跡:鉱山交流館「神選」やライトアップ等。
白井大町藤公園:山陰一の規模、ゴールデンウィークの2週間で約3万人が来訪。
道の駅(3箇所):道の駅あさご、フレッシュあさご、但馬のまほろば。

ふるさと納税・GCFの活用事例(経済振興課:安達氏)
「但馬朝来オオサンショウウオラボ(自然環境保全センター)」の整備とGCF(ガバメントクラウドファンディング):
県から無償譲渡を受けた旧黒川自然公園センターを改修し、令和8年7月26日に開館。
研究・飼育・情報発信・環境教育の拠点として整備。
GCF実績:令和7年7月〜9月(90日間)、目標額1,000万円に対し2,744万3,000円(達成率274.4%)、支援者数722人を達成。
寄附金を活用して展示水槽・研究機材の導入、限定ナイトツアー(8名参加)などの関係人口創出施策を実施。

3. 事前質問に対する回答

観光関連予算規模および観光協会への委託費・補助金
市全体予算:約231億円。
観光交流課全体予算:約3億1,735万円。
朝来市ツーリズム協会関連:全体で約5,340万円。
人件費補助金:1,684万8,000円
観光プロモーション事業補助金:207万3,000円
委託事業費(うまいもんフェス、案内所3拠点の運営管理、環境整備等):約3,448万円

リピーター・インバウンド対策
ターゲットを絞り込み、地域分散型ホテル(アルベルゴ・ディフューゾ/分散型民泊・町ごとホテル)や「滞在・交流型観光」へのシフトを推進。
広域連携(周辺市町やホテル、旅行会社等との連携)により、ツアー組み込みや多言語発信を効率化。自場産業発展・地域経済活性化への還元
日本酒の酒蔵と連携した滞在型コンテンツの開発や、地元自治協議会・農家と連携した収穫体験・食事提供など、地域へ直接資金が落ちる仕組みを構築。

住民主体の活動と新たな観光資源の育成
白井大町藤公園(白井区自治会による運営)や、地元企業・住民が主体となった空き家改修・酒蔵連携プロジェクトの事例。
観光消費額・滞在時間を伸ばす取り組み
冬季閉山期の竹田城跡における「特別開城ガイドツアー」(高付加価値コンテンツ)の実施や、近隣市町(豊岡市出石・城崎温泉等)との広域周遊マップの作成・営業展開。

 観光振興による利益の地域住民への還元方法や仕組みについて
事業自体が即座に大きな黒字を生んで住民に分配できる段階には至っておらず、入場料等は施設の維持管理や文化財保全・発掘調査に充てられている。ただし、民間の宿・飲食店や道の駅、地元の体験受入(自治協議会等)への対価支払いを通じて、地域経済への直接的な還元・循環を図っている。

地域住民との連携における中心層(年代)や若手の巻き込みについて
現在の地域自治や協議会の中心は60〜70代が主だが、アンケート等を通じて若手の意見を取り入れ、一部のイベントや準備を若手(30〜40代)に任せる「権限譲渡」を進めている地区では世代交代がうまく機能している。また、定住率9割を超える地域おこし協力隊OB/OGが地域と若手をつなぐキーマンとなっている。さらに、市の全事務事業(約420事業)を人口対策に紐付ける施策方針のもと、農業や起業支援を通じた若い世代の定着を後押ししている。

朝来市の移住・定住政策や観光振興の連携について非常に参考になった。
移住政策の成功が土台となり、そこに観光施策が上手く乗っかる形で現在の成果(田舎暮らしランキング上位等)に繋がっているという所感を提示。

観光協会の法人化・体制および人材確保について
合併当初は旧4町それぞれの観光協会が存在していたが、合併後に統括・調整を行い、令和5年に「一般社団法人朝来市ツーリズム協会」として法人化。
事務局体制の変遷:合併当初は市の観光課内に事務局を置き、市職員が実務を兼任。
徐々に別組織へ移行し、初期は市職員OBが事務局長を務めつつ民間雇用を実施。
一時期、地域おこし企業人などを活用するも定着に課題があったため、ハローワーク等で民間公募を実施。現在は地域おこし協力隊OBが部長(スタッフ)として在籍。
現在の事務局長: 都会から移住し、元々観光業界で実績のある人物が専任で着任している。
協力隊の活用:
令和8年9月より、観光協会配属の地域おこし協力隊員1名を新たに採用し、市観光交流課がサポートを行っている。
人員構成(常勤・非常勤):
 観光案内所等のスタッフは、観光協会が会計年度任用職員(臨時・パート)として直接雇用。
常勤スタッフ: 事務局長(1名)、協力隊OB部長(1名)、専門職員(2名)、臨時事務員(1名)、協力隊(1名)。
市からの派遣・人件費:市からの職員派遣は現時点で行っていない(人件費としての補助金交付を実施)。
補助金交付事務や補助申請のノウハウ指導等で市職員派遣を求める声もあるが、市側も人件費・人手不足の課題を抱えている。

ガイド人材の高齢化課題:観光ガイドの高齢化が進んでおり、新たな人脈・人材の発掘が難しくなっている。今後は広域連携やデジタルアーカイブ化を含めた対応を検討中。

竹田城城下町の街並み整備(旧・寺子屋等)について、行政主導で進めたのか、民間の個人投資・事業者が主導したのか。
インフラ整備(電柱地中化、道路舗装等)は行政が実施。
宿泊施設やカフェ、飲食店(寺子屋、旧酒蔵を活用したホテル等)の整備・運営はすべて民間主導・民間開発。
竹田城跡の来城者が急増した時期(年間約58万人)に宿泊・飲食店不足が深刻化し、それに対応する形で民間の参入・投資が進んだ。外資や市外からの事業者参入も増加。
資金活用: 農林水産省等の国直轄補助金や、市を通さない「直接補助金(直補助)」を活用して民間グループが事業化(行政の一般会計を通さずスピーディに展開)。

市内の道の駅の整備と位置関係、市内に3箇所ある道の駅の指定管理や改修、配置の考え方について。
1. 道の駅 あさご: 国道312号(一般道)沿い、朝来市の中央部に位置。「道の駅制度」創設時の全国第1号指定の歴史を持つ。
2. 道の駅 フレッシュあさご: 播但連絡道路(有料道路)のサービスエリアを兼ねた道の駅。
3. 道の駅 但馬のまほろば: 北近畿豊岡自動車道(高速道路)沿い、養父市との境界近く(朝来市の東の玄関口)に位置。

地理的特性(南北・東西に走る高規格道路)に応じ、それぞれの役割を果たしている。

 朝来市でのガバメントクラウドファンディングの成功理由や工夫(目標1,000万円に対し約2,700万円超を達成した要因)について。
 返礼品の組み合わせ:
 「返礼品なし(寄付のみ)」と「返礼品あり」の2つのパターンを用意。
単に事業趣旨への共感を呼ぶだけでなく、通常のふるさと納税と同様に「魅力的な返礼品(米など)」を入り口として関心を持ってもらう導線を設計した。
昨年度は米不足の影響もあり、米の返礼品をフックとした寄付が大きく寄与した。
首長(市長)の強力なリーダーシップ:
 オオサンショウウオの保護・活用事業において、市長自らが「これは絶対にやり遂げる」と強い意志を示し、職員・市民を牽引した。
県知事から表彰を受けるなど、事業の意義を対外的にアピール・プレス発表したことが成功の大きな要因となった。

平成の大合併における「朝来市」の名称決定の由来について。

合併前の「朝来郡(あさごぐん)」に由来。
かつて「朝来山(あさごやま)」や「朝来館(あさごかん)」といった地域に根ざした名称が存在していたこと、また「朝(あした)が来る、未来への希望」という明るい意味合いも込められて選定された。

特記事項
担当課長が前の部署が定住促進の部署でその人脈を活かす形で「暮らすように旅する」のコンセプトで、地域の住民組織が観光の受け入れ組織として機能している。地域おこし協力隊や地域おこし企業人の制度を活用して新しい事業展開を進めている。地域おこし協力隊の任期後の定着率が90%と言うのが素晴らしい。地理的な悪条件の中でも果敢に観光事業を展開している。

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