2015年12月15日(日)10:00~12:00 笠岡市民会館第1会議室
講師:県立鴨方高校 校長 久常宏栄氏
笠岡の教育を考える会の第2回勉強会は、県立鴨方高校の久常校長に講師をお願いし、久常校長の目指す高校の役割、地域と高校の連携等々についてこれまでの津山東商業・和気高校・鴨方高校での取り組みをご紹介いただきながら「高校の魅力化」について考えます。



📝 全体要約(基幹メッセージ)
久常校長は「世の中の理不尽を変えたい」という原体験を起点に、 生徒が主体となり、自ら学び・考え・地域とつながり、人生を舵取りできる力を育てる教育 を追求してきた。 そのために、探究学習を「行学」として体系化し、地域協働・外部人材活用・失敗を許容する文化を学校に根付かせてきた。 鴨方高校でも同様に、生徒を主語にした学校づくりを進め、地域との連携を強化しながら、生徒の主体性と自己肯定感を育む取り組みを展開している。
1️⃣ 「いい教育・いい学校」とは何か(参加者の意見)
文書では複数グループの意見が紹介されており、共通点は以下の通り。
● 共通する価値観
- 生徒の自主性・主体性を尊重する教育
- 個性を認め、伸ばす教育
- 自由と選択肢が保障される環境
- 意見を言いやすく、表現できる場
- 卒業後の多様な選択肢が見える教育
- 押しつけない教育、心豊かな学校
● 補足的な論点
- 自由は難しいため、一定の道筋や選択肢の提示も必要
- 名前のある学校=良い学校ではない
- 早期の進路決定は危険
- 地域の魅力や産業を知ることが重要
- 生徒が「やりたいことに没頭できる」環境が必要
2️⃣ 久常校長の教育観・原点
● 原体験
- 家庭の封建的な価値観への反発
- 「世の中の決めつけられたレールを外したい」という思い
- 「いい学校・いい教育とは何か?」への長年の疑問
● 教育の目的
- 生きる力・しなやかさ・折れない心を育てる
- 人生を自ら舵取りできる力をつける
- 目的を持って進路選択できるようにする
- 社会に貢献したいという志を育てる
3️⃣ 探究学習「行学」の構造(津山東高校での実践)
● 3年間の体系
1年:視野を広げ、基礎的な思考力を徹底的に鍛える 2年:地域に出て実践 3年:進路につなげる
● 教員の役割
- 専門家として教えるのではなく 伴走者
- 「否定しない」「問いかける」「外部につなぐ」
- 失敗を許容し、挑戦を促す文化づくり
● 生徒の学びのプロセス
- 課題発見 → 情報収集 → 分析 → 計画 → 実践 → 修正
- 実践を重視し、地域の大人と関わることで学びが深化
● 成果
- 地域への愛着の醸成(18歳の壁への挑戦)
- 進路実績の向上
- 生徒の目的意識の形成
- 地域コーディネーターとの協働による活動の継続性
4️⃣ 地域連携の広がり
● 津山4校連携講座
- 4校合同で課題解決型学習
- 市長への提言書提出
- 実現した提言もあり、現在も継続(第9回)
● 民間との協働
- 「うまいもん一番街」
- 城下ハイスクール(和田優輝氏)
● 和気閑谷高校での取り組み
- 地域協働探究(1日丸ごと地域活動)
- 7週間のインターンシップ
- 地域みらい留学(寮を町が建設)
5️⃣ 鴨方高校での改革(校長就任後)
● 基本方針
- 学校の魅力は生徒そのもの
- 生徒が主語になる学校づくり
- 生徒を信頼して外に出す
- 個性を尊重し、自由を広げる
● 具体的な取り組み
- 鴨方仕事図鑑(1年)
- マルシェ(2年)
- お土産プロジェクト
- 商品開発(レモン・酒ラベル)
- 鴨フェス(生徒会企画)
● コーディネーター佐藤氏の視点
- 大人が子どもに教えるのではなく、子どもから学ぶ
- 生徒のアイデアを尊重し、目的を明確化する支援
- 生徒の経験から生まれる「大人になりたくない大人像」も学び
6️⃣ 参加者の声
- 教員不足・採用辞退の増加
- 多様な子どもへの対応の困難
- 地域の依頼が多すぎて学校が疲弊
- ボランティアは取捨選択が必要
- 小中との連携で「子ども中心のまちづくり」を
- 地域の多様な大人と出会う場(例:わくわくルーム)
7️⃣ これからの教育の方向性
- PDCAよりも「まずやる→柔軟に変える」
- 学校は未来に送り出す場所であり、古い価値観では対応できない
- ルールは押しつけではなく 自分たちで作るもの
- 自己肯定感を育てる場としての学校
- 外部講師を積極的に活用し、自由なカリキュラムへ
🎯 まとめ(本質)
久常校長の語りは、 「生徒を信じ、自由と挑戦を保障し、地域とともに学びを創る教育」 を一貫して追求する姿勢に満ちている。
その核は次の一文に象徴される。
「生徒が主語になっていく学校をつくりたい」
そしてそのために、 地域協働・探究・実践・失敗の許容・伴走型支援 という具体的な仕組みを積み重ねてきた。

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