高校の授業料無償化で公立が私立に対抗できるか?

藤岡慎二先生にお尋ねし、メッセージをいただきました。
産業能率大学経営学部教授・内閣府地域活性化伝道師・総務省地域力創造アドバイザー・(株)Prima Pinguino代表取締役・文科省や県教委の検討委員会歴任。小中高大学魅力化プロジェクト展開中。

 島の活性化や高校再編、地域の自治を活動テーマにしています。今不安に思っている事があります。私立高校が新しい学習指導要領の改訂に合わせて独自の探究科目を進めている中で、後追いになる公立高校の強みって何だろう?親からすると学費の無償化も進む中でより私立思考が進み、今以上に見栄えの良さそうな周辺の都市の私立に流れると懸念されます。教えてください。

「私立の真似をした公立高校は勝てない」というのが率直な考えです。
探究学習も、STEAM教育も、DXも、国際教育も、私立は意思決定が速く、特色を打ち出しやすいため、制度上、公立はどうしても後追いになりやすい構造があります。
だからこそ、公立高校は違う土俵で価値をつくらなければならないと思っています。
私が考える公立高校の強みは、大きく3つあります。


① 地域そのものを教育資源にできること
私立は校内で完結する教育は得意ですが、自治体、企業、住民、行政と一体になった学びは、公立の方が圧倒的に実現しやすいです。
「地域で学び、地域で挑戦し、地域に成果を返す」
この循環は、公立だからこそできる教育です。

② 地域政策と一体で学校を設計できること
高校は教育機関であると同時に、地域の人口政策・産業政策・人材政策の中核でもあります。

例えば、
地元企業との共同研究・地域課題をテーマにした探究・地域留学・起業教育・地域医療・福祉・農業との連携
こうした取組は、教育委員会だけではなく、市役所全体で支えることで初めて強みになります。

③ 「地域でしかできない経験」を提供できること
AIやオンライン教育が普及すると、知識だけなら都市部との差はどんどんなくなります。

一方で、
漁業・農業・島の暮らし・防災・地域自治・多世代との協働
こうしたリアルな経験は、その地域でしか得られません。
これこそが、都市部の学校には真似できない価値になります。


一方で、守屋様がおっしゃるように、学費無償化が進めば、保護者はますます「教育サービス」として学校を見るようになります。

つまり、「公立だから選ばれる」時代ではなく、

「ここでしか学べないから選ばれる」学校しか生き残れない時代になります。

だから、高校魅力化は学校改革だけでは不十分です。
地域づくりそのものが高校の魅力になる。

この発想への転換が必要だと思っています。

笠岡市であれば、島しょ部という全国的にも希少な資源があります。
これは観光資源ではなく、「教育資源」として捉え直すことで、大きな可能性があります。
島だからこそ学べることを教育課程に組み込み、都市部からも学びに来たくなる学校をつくる。そうした視点が、公立高校の競争力につながるのではないでしょうか。

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